大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

京都地方裁判所 昭和52年(わ)1713号 判決

本籍

東京都中野区新井四丁目一五番地一

住居

同区新井四丁目三二番地九号中野公園ハイツ六〇六号

予備校経営、出版社経営、日本語学校経営

儀我正三郎

昭和二年一〇月六日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官太田建一出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金一、二〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となる事実)

被告人は、京都市左京区下鴨森本町二四番地において予備校「研学キヤンパス」を経営しているものであるが、所得税を免れようと企て、

第一  昭和四九年分の総所得金額は二、四九六万二、七八五円で、これに対する所得税額は一、〇二四万二、四〇〇円であつたにもかかわらず、公表経理上授業料収入の一部を除外し、あるいは、架空経費を計上するなどして所得を秘匿した上、同五〇年三月一四日同区聖護院円頓美町一八番地所在の左京税務署において、同税務署長に対し、同四九年分の総所得金額は一〇五万八、一八五円で、これに対する所得税額は八万八、一〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、右正当な所得税額と右申告にかかる所得税額との差額一、〇一五万四、三〇〇円を免れ、

第二  昭和五〇年分の総所得金額は七、五三二万五、六九五円で、これに対する所得税額は四、二一八万五、五〇〇円であつたにもかかわらず、前同様の不正の方法により所得を秘匿した上、同五一年二月二七日前記左京税務署において、同税務署長に対し、同五〇年分の総所得金額は二四三万六、三一七円で、これに対する所得税額は二七万四、九〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、右正当な所得税額と右申告にかかる所得税額との差額四、一九一万〇、六〇〇円を免れ、

第三  昭和五一年分の総所得金額は三、八六八万三、八二七円で、これに対する所得税額は一、七七四万三、一〇〇円であつたにもかかわらず、前同様の不正の方法により所得を秘匿した上、同五二年三月一五日前記左京税務署において、同税務署長に対し、同五一年分の総所得金額は四三〇万九、三一六円で、これに対する所得税額は六二万五、六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、右正当な所得税額と右申告にかかる所得税額との差額一、七一一万七、五〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述及び検察官に対する供述調書

一  大蔵事務官の被告人に対する各質問てん末書八通

一  被告人作成の上申書

一  三本美智子の検察官に対する供述調書

一  大蔵事務官の三本美智子(一〇通)、福地常太郎(三通)、中村進一郎、酒谷晴二(二通)、石原魏(二通)、荒井好一に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の査察官調書(三通、検二九号、四二号、四九号)、現金預金有価証券等現在高確認書及び同検査てん末書並びに証明書(検五一号)

一  石原魏、長谷川文雄、長谷川昭夫、荒井好一、山田茂一作成の各確認書

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検二号)及び証明書(検五二号)

判示第二及び第三の各事実につき

一  大蔵事務官の石川渉、渡辺久夫、咸甲道に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の査察官調査書三通(検三六号、三七号、三九号)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官の儀我竹、岡田喬子、赤岩和代に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検三号)、査察官調査書(検四三号)及び証明書(検五三号)

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検四号)及び証明書(検五四号)

一  三本美智子作成の確認書六通

(法令の適用)

一(判示第一ないし第三の各所為につき)所得税法二三八条

一(刑種の選択) 所定刑中それぞれ罰金刑と懲役刑とを併科

一(併合罪の処理)懲役刑 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重)

罰金刑 同法四八条二項(各罪所定の罰金額を合算)

一(労役場の留置) 同法一八条

一(刑の執行猶予) 同法二五条一項

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 山田賢)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例